キリンジ学習塾 運営責任者の山路です。
「勉強しなさい」と言わなければ、本当に何もしなくなるのではないか。宿題や提出物を確認しなければ、成績がもっと下がってしまうのではないか。
親子で勉強をめぐる衝突が続いていると、そんな不安を感じるのは当然だと思います。
中学生・高校生は、思春期の真っただ中です。私は、反抗期は子どもが親から少しずつ離れ、自立していくために必要なプロセスだと考えています。そう考えれば、この時期に親子間で衝突が起きること自体は、ある意味当たり前のことです。
「やりなさい」と言えば反発する。何も言わずにいると、今度は親の方がイライラする。その結果、勉強の話をするたびに親子関係がギクシャクしてしまう。
当塾でも、こうした相談は何度も受けてきました。特に、母親と男子生徒の間で勉強をめぐる衝突が続いているという相談は珍しくありません。
私自身、中学3年生の娘を含む3人の子どもを育てています。親として「言わなければ本当にやらないのではないか」と心配になる気持ちは、よく分かります。
それでも、中学生以降は、親が学習面から手を放していく必要があると考えています。
高校や大学は、親に連れて行ってもらう場所ではありません。どこへ進みたいのか、そのために何をしなければならないのか、実際に努力するのか、しないのか。最終的には、本人が自分で考え、自分で決め、自分でその結果を引き受けていくものです。
子どもは、失敗したり、悩んだり、葛藤したりしながら少しずつ大人になっていきます。その自立の過程を、親が先回りして邪魔してはいけないと思っています。
中学生になったら、勉強は本人の問題です
小学生のうちは、宿題を確認したり、持ち物を一緒に準備したりすることもあると思います。しかし、中学生になっても毎日のように「宿題は終わった?」「提出物は出した?」「テスト勉強はした?」と親が確認し続ける状態は、どこかで卒業しなければなりません。
中学生になれば、少しずつ自分のことを自分で管理していく時期です。
宿題を忘れて先生に注意されることもあるでしょう。提出物を出し忘れることもあるでしょう。テスト前に勉強しなかった結果、悪い点数を取ることもあります。
親としては、そうなる前に助けてあげたくなります。しかし、その失敗をすべて親が先回りして防いでしまえば、本人は「自分がやらなかった結果」を経験できません。
自分で失敗する。自分で困る。そして、自分でどうするかを考える。それも、大人になるために必要な経験です。
中学生になっても親が宿題や提出物を管理し続けている状態の方を、私はむしろ心配します。
手を放せば、確かに一度は成績が下がることがあります
「そんなことを言っても、うちの子は放っておいたら本当に何もしません」
そう思う方もいるでしょう。その心配は、間違っていません。
実際、これまで親が強く学習に関わってきた家庭ほど、親が手を放した直後はいったん勉強量が減り、成績が下がることがあります。
それまで「親に言われたから宿題をする」「親に言われたからテスト勉強をする」「親に怒られるから提出物を出す」という形で動いていたのであれば、親が何も言わなくなった瞬間から、自分で考えて動けるようになるわけではありません。一度止まるのは、ある意味当然です。
そこで成績が下がると、親は不安になります。「やっぱり言わないとダメだ」「ほら、放っておいたらこうなった」「このままでは高校受験に間に合わない」と思い、また元のように管理を始める。
しかし、それを続けている限り、本人はいつまでも「言われないと動かない状態」から抜け出せません。
もちろん、成績を下げることが目的ではありません。大切なのは、成績が下がることまで親が先回りして防がないことです。
勉強しなかった。点数が下がった。周囲との差が開いた。このままでは行きたい高校に届かない。
そうした現実に本人自身が直面して、初めて「このままではまずい」と感じることがあります。親から何度「勉強しなさい」と言われても動かなかった子が、自分で困ったことをきっかけに動き始めることもあります。
中学生のうちなら、まだ失敗できます。そして、そこから立て直す時間もあります。
一方で、親が不安になって管理を続け、高校生になっても宿題や提出物を確認し、テスト前には勉強するよう声をかけ、親に言われなければ動けない状態が続いてしまうと、後から変えるのはもっと難しくなります。
高校生になって突然「もう高校生なんだから自分でやりなさい」と言われても、それまでずっと親が管理してきたのであれば、簡単に切り替えられるものではありません。だからこそ、中学生のうちに学習の責任を本人へ返していく必要があります。
綺麗事を言っているつもりはありません。
一度成績が下がることがあっても、自分で困り、自分で考え、自分で立て直す経験をしてほしい。このままずっと親が管理し続ける方が、私はずっと心配です。
手を放すのは「学習面」です
ここまで読むと、「では、親は何も言わず、何もしなくていいのか」と思われるかもしれません。もちろん、そういう意味ではありません。
私が手を放してほしいと言っているのは、あくまで学習面です。生活面については、保護者がしっかり関わる必要があります。
食事や睡眠を整える。生活リズムが大きく崩れないようにする。健康状態を気にかける。必要な学習環境を整える。進路に関する大切な予定や手続きは一緒に確認する。
こうしたことは、保護者だからこそできる大切なサポートです。
勉強には口を出さない。でも、親としての役割まで手放すわけではない。
ここは分けて考えてほしいと思います。
ゲームや動画の制限を「勉強」と結びつけない
ゲームやYouTube、スマートフォンについても同じです。私は、家庭でゲームや動画の利用時間を決めること自体が悪いとは思いません。
夜遅くまでゲームをして睡眠時間が削られている。スマートフォンを長時間使い続けて生活リズムが崩れている。そうした場合に、保護者が家庭のルールを決めるのは当然です。
ただし、その理由を「勉強」にしない方がいいと思います。
「勉強していないからゲーム禁止」「宿題が終わるまでスマホは禁止」「テスト前だからYouTubeは禁止」
こうしてしまうと、ゲームやスマホの問題と勉強の問題が一緒になります。子どもからすれば、「勉強のせいでゲームを取り上げられた」「勉強しろと言われるから親とケンカになる」という状態になりやすくなります。
ゲームや動画を制限するのであれば、「睡眠時間を確保するため」「生活リズムを守るため」「健康的に生活するため」という家庭の生活ルールとして考える。
勉強したかどうかとは切り離した方がいいと思います。
学習面の関与は、親以外の大人に任せてもいい
中学生・高校生は、思春期や反抗期の真っただ中です。内容として正しいことを言っていても、親から言われたというだけで反発することがあります。
親から「もっと勉強した方がいい」「このままでは志望校に届かない」と言われると反発するのに、学校の先生や塾の講師から同じことを言われると素直に聞く。そういうことは珍しくありません。
だから、学習面で大人の関与が必要なのであれば、必ずしも親がその役割を担う必要はありません。学校の先生でもいいですし、塾の講師でも構いません。親子だからこそ難しいことは、第三者に任せてもいいと思います。
キリンジ学習塾でも、学習会議で目標や優先順位、学習計画、進捗を整理するなど、学習管理を行っています。特訓でも、必要に応じて講師から具体的な指示を出します。
ただし、講師が本人に代わって何もかも決め、いつまでも「言われたことだけをやる状態」にすることが目的ではありません。
学習会議で「今、何を優先するべきか」を一緒に整理する。特訓では、実際に自分で考え、解き、確かめる。その積み重ねを通して、少しずつ自分で学習を進められる状態を目指します。
学習管理は必要です。ただ、その管理の最終的な目的は、管理され続けることではありません。
本人が自分で考え、自分で学習を進められるようになることです。
親が毎日の勉強を細かく管理し続ける代わりに、塾がその役割をそのまま引き継ぐ、という考え方ではありません。必要なところではしっかり関わりながら、最終的には本人が自分の学習を自分で動かせる状態を目指しています。
親は「勉強させる人」でなくていい
子どもの成績が良くなければ、親として心配になるのは当然です。口を出したくなる。勉強しているか確認したくなる。このままではまずいと焦る。
私自身も親なので、その気持ちはよく分かります。
それでも、中学生以降は、少しずつ学習の責任を本人へ返していかなければなりません。一度成績が下がることもあるでしょう。本人が困ることもあると思います。
でも、自分で失敗し、自分で考え、自分で立て直していく経験をしないまま大人になる方が、私は心配です。
保護者が担うのは、子どもを勉強させることではありません。健康に生活できる環境を整える。必要なときに話を聞く。大きな判断では支える。
そして、勉強そのものについては手を放していく。
もう中学生です。
子どもが自分で困り、自分で考え、自分の足で歩き始める機会を、親が奪わないでほしいと思います。
親子で勉強の話をすると毎回衝突してしまう。頭では手を放した方がいいと分かっていても、どうしても口を出してしまう。
そのような場合は、親だけで抱え込まず、学校や塾など、親以外の大人を頼る方法もあります。
キリンジ学習塾では、7日間無料体験を実施しています。親が毎日の勉強を管理するのではなく、本人が自分で学習を進められる状態を目指して、学習会議や特訓を通してサポートしています。

